世の流れをキャッチする“平置き観測”で会話上手になれ

有竹
「この連載のテーマとなっている“楽しむ”って、具体的にどういうことなんでしょう?」
野田
「新聞を読むにしてもニュースを見るにしても、自分事として捉えてどこに興味を持ちどう広げていくか。それが物事を“楽しむ”こと。楽しむことによって自分の中の情報が増えて、ビジネスでもプライベートでも生かせると思うんだよね」
「人の話を聞くにしても、『へぇ』で終わる人と『そんなことが起きてるんですか?』って食いつく人だったら、後者の方が話を楽しんでるって感じますよね」
野田
「物事に関心を持つと、会話も楽しめるんじゃないかなって思う。例えば、北朝鮮の暗殺の話題が出たとすると『シリアとかでも日本のテロ防止法が絡んできて、テロの問題はまだ続きそう』『ロンドンでも5年前にテロがあったよね』『ロンドンといえばEU離脱がさ…』って話が広がっていくでしょ」
稔子
「そのためにも、ニュースの見方や関心の持ち方を伝えられたらいいよね」
野田
「その通り。今の若い子達のニュースソースって何なんだろう?」
「スマホのニュースアプリじゃないですか? あらゆるニュースが流れてくるテレビと違って、興味があるものしか読まないですよね」
野田
「そこに改善点があると思うんだよね」

 

 

■“ビュッフェ型勉強”からの離脱がカギ

 

ビジネスでも何でも、成功している人の話には深みがある。その理由は、あらゆるものに関心があるからだ。ニュース1つとっても、興味のある範疇にとどまらず様々なものを見ていくと、話の幅も広がりやすい。

 

以前、明治大学の齋藤孝教授が講演で「最近の若い子達は“ビュッフェ型”の勉強しかしない」と話していた。ビュッフェでは、お腹いっぱいになるまで好きな物だけを食べる人がほとんどだろう。勉強の仕方も同様で、インターネットなどで好きなことだけをチョイスする若者が増えているということ。

 

ビュッフェ型の勉強だけをしていると、ピザが好きな人はピザが好きな仲間とだけ集まってしまう。もちろんそれでも楽しいかもしれないが、同じ輪にうどんが好きな人やステーキが好きな人もいた方が会話はいろいろな方向に広がり、知らなかった世界が見えてくるはずだ。

 

企業などの組織を作る時も、違う思考の人が集まっていた方が強い。ピザ好きしかいない企業では「来月からピザ全面禁止」という規制が出た場合に対応できないが、「俺はうどんが好きだから大丈夫」という人がいれば打開策を練ることができる。

 

では、興味のある分野以外の情報を得るには、どのようにニュースを見ればいいのか。

 

テレビやラジオでニュースを取り入れることだ。

 

自動的にニュースが入ってくるため、自分の興味に関わらず情報を得られる。また、放送順や放送時間の長さを通じて、世の中の流れを掴むこともできるのだ。同じように新聞の見出しからも、掲載誌面や大きさで世間の関心度の高さを判断できるだろう。

 

 

■「書店」「コンビニ」も情報の宝庫

 

世の中の流れを掴む手段はニュースだけではない。「書店」に行くのも1つの方法。

 

ただし、好きな分野の本棚を見ればいいわけではない。書店の入口近くや目立つ場所に平置きされている書籍をチェックしてみよう。売れている本のランキングや書籍のタイトル・帯などから、世の中に求められているもの、関心が高い事柄をキャッチできる。

 

売上総トータルで百貨店を抜いた「コンビニエンスストア」には、買い物に関するあらゆる情報があふれている。レジに一番近い棚にチョコレートが置かれていれば、チョコレートブームが来ていることが読み取れる。商品の色合いやネーミングも、世の中の流れやニーズを反映している。タレントの厚切りジェイソンは、コンビニの商品に「厚切り」というワードが多く使われていたため、芸名に採用したそうだ。

 

いつも行っている書店やコンビニで少しアンテナを張ってみる。ニュースの取り入れ方を少し変えてみる。これだけで話題が豊富な会話上手になれるだろう。

 

どんな情報も自分事として楽しむこと。まずはここから始めてみよう。